PPバンド・斜め短冊模様のステッチ

名称斜め短冊(ななめたんざく)模様Diagonal Slat Pattern
単位[水平] 6[垂直] 2
レベル0[水平] ベース色[垂直] ベース色
レベル1[18度] 0: A色 | 1:- | 2:B色 | 3: – | 4:C色 | 5: – (全て1/2幅)
レベル2
備考A,B,C色が同じなら、水平単位は2。
垂直ひも数の約数であれば、側面全体の繰返し可。
72度, 108度, 162度でも同様。
転置 角度変更に相当
ステッチのインデックス

「横3マス・縦1マス」タイプ、レベル1のステッチです。ベース色は白、A色はイエロー、B色は紺、C色は赤にしてみました。

「横3マス・縦1マス」タイプとしては、18度と162度があるのですが、18度で埋めたため162度は通りません。いずれか一方しか選べないので「斜め線」、それが途切れているので「短冊」つまり「斜め短冊」模様です。

stitch pattern named 
斜め短冊模様 / Diagonal Slat Pattern
斜め短冊模様のステッチ

内側と底です。ステッチは側面にだけ、底と縁で各1段分差し込んでいます。高さの比率を少し高めてスクエア形にしたので、後差しひもが側面をちょうど一巡します。

斜め短冊模様のステッチ、内側
斜め短冊模様のステッチ、内側
斜め短冊模様のステッチ、底
斜め短冊模様のステッチ、底

3色にしたので垂直方向の単位は6です。垂直ひも本数は(7+14)*2=42 で、単位の7倍ですから、全面と背面の色の位置は異なります。とはいえ、このサイズである必要はないし、3色でなくても垂直ひも本数に合わせれば、側面は繰り返しパターンになります。

1単位分の編み目(赤枠)です。後差しひもが全て同じ色であれば、左図・2×2単位になります。今は3色使っていますので、中央(プレビュー図)と右(写真)のように6×2単位です。

6×6の図、3点
赤枠内は1単位
差しひもが同色か、3色かの2種
模様の単位

※前側面の左下から、右(0度)方向・上(90度)方向にカウントアップ。左下は垂直方向がover/水平方向がunderです。

Squareのデータです。ソフトでは、フレームへの斜めの差し込みが指定できないので、全面に垂直方向のバンドを重ねて疑似的に表示させています。

Fab Your Vibe! – バイブコーディングで遊んできました

FabCafe Kyoto のイベント『Fab Your Vibe! – バイブコーディングで遊ぼう vol.2』に参加してきました。こんなイベントです。

Claude Code、Cursor、CodeX などのAIコーディングツールを利用して、アイディアを形にしてみましょう。ルールはひとつ。コードを一切書かないこと。

どこで、なにに、どんなコーディングをしてもらって、どうやって動かすの?レベルでしたが、例をみせてもらって、そもそものところからAIに教えてもらいつつ、何とか進めることができました。

最後に、参加者の皆さんが作られたアプリを見せて頂いたのですが、画像や動画や地図、音楽・ショートストーリーにゲームと、ちゃんと動くし、組み合わせがリッチ。全部AIが教えてくれたんですよ、と言いつつも、その人にしか表現できないこだわりが形になっているのです。人間も、AIも、すごい。

さて私。このマルチメディアの時代にレガシーとは思いつつ、趣味は籠ですから、籠のアプリを作ってもらいました。ヤバい事故も起こしかけて、早い段階で気づけてよかったね、なんて、慰めなのか自己正当化なのかわからないコメントももらいつつ。

説明より描かせたい画像を見せるといいよ、などいろいろ教えていただいたスタッフの皆様、ありがとうございました。その後、仕様簡略化&修正を加えてできたのがこちら。

スマホでも動きます。試してみてください。

PPバンド・菱模様のステッチ

名称菱(ひし)模様Diamond Pattern
単位[水平] 2[垂直] 6
レベル0[水平] 0:A色 | 1:B色 | 2:B色 [垂直] A色
レベル1[72度] 0: – | 1:A色(1/3幅)[108度] 0: – | 1:A色(1/3幅)
レベル2
備考レベル0の色によらず、72度+108度で菱模様
横方向・18度+162度の菱模様もあり
転置 角度変更に相当
ステッチのインデックス

「横1マス・縦3マス」タイプ、レベル1のステッチです。A色は赤、B色は赤ストライプで試作しました。

ストライプのバンドが残っていたので使ってみましたが、これに限らず、水平方向の色を変えることで、様々なバリエーションを作れると思います。

stitch pattern named 
菱模様 / Diamond Pattern
菱模様のステッチ

内側と底です。ステッチは側面にだけ、底と縁とで折り返しながら差し込みました。

このかごバッグは横ひも(マチ方向)が8本と偶数のため、前面と背面ではステッチの位置がずれていますが、奇数にすれば同じになります。垂直方向の単位は2なので、縦ひも・横ひもは、どんな本数でも作れます。

菱模様のステッチ、内側
菱模様のステッチ、内側
菱模様のステッチ、底
菱模様のステッチ、底

1単位分の編み目(青枠)です。重なりがわかるように、deep赤と赤で表示していますが、使ったバンドは同じです。

8×6の図
赤枠内は1単位(2×6)
模様の単位

※前側面の左下から、右(0度)方向・上(90度)方向にカウントアップ。左下は垂直方向がover/水平方向がunderです。

Square のデータです。

PPバンド・窓模様のステッチ

名称窓(まど)模様Windowpane Pattern
単位[水平] 2[垂直] 2
レベル0[水平] 0: A色 | 1:B色[垂直] 0: A色 | 1:B色
レベル1[水平] 0: – | 1:A色(1/2幅)[垂直] 0: – | 1:A色(1/2幅)
レベル2
備考組み合わせで窓形状が変わります転置 組み合わせの一種
ステッチのインデックス

レベル1、水平・垂直方向だけの基本的なステッチです。A色はネイビー、B色は白で作ってみました。

窓が並んだビルのようになりました。

stitch pattern named 
窓模様 / Windowpane Pattern
窓模様のステッチ

内側と底です。内側は直交方向のストライプ、垂直方向の差しひもは底を通したので底も同じ模様になりました。

窓模様のステッチのかご、内側
窓模様のステッチ、内側
窓模様のステッチのかご、底
窓模様のステッチ、底

1単位分の編み目(赤枠)です。

6×6の図
赤枠内は1単位(2×2)
模様の単位

※前側面の左下から、右(0度)方向・上(90度)方向にカウントアップ。左下は垂直方向がover/水平方向がunderです。

Square のデータです。

プラかごの後差し模様(ステッチ)の体系と進化

先に「ピクセル絵」として、短いバンドをドットのように差し込み、絵を描く手法を紹介しました。しかし、実際のプラかご作りにおいて、より広く使われているのは、長いバンドを側面全体に通して幾何学的な模様を描き出す装飾技法です。

本サイトでは、この技法を「後差し模様」ないしは「ステッチ」と呼び、順を追ってその組み合わせを見ていきたいと思います。それに先立ち、なぜこの技法が生まれたのか、どのような仕組みで成り立っているのか、その全体像を整理します。

1. すき間から表面へ:PPバンド独自の進化

竹細工や籐細工における伝統的な「差しひも(透かし編み装飾)」は、六つ目編みや四つ目編みなどの「編み目のすき間(目)」にひもを通す技法でした。

一方、PPバンドで作るプラかご(主に平編みベース)では、目ではなくバンドの表面に重ねて差し込みます。これは、PPバンドという素材が薄く、滑りやすいからこそ可能になった、独自の進化形と言えます。紙バンドのように編み目や幅自体を変えることが難しい代わりに、薄いバンドを層のように重ねることで装飾性を高める道を選んだのです。

2. 構造のレベル分類:支点のルール

滑りやすいバンドを固定するためには、単に重ねるのではなく、既にあるバンドを支点として利用する必要があります。この「何に留めるか(依存関係)」によって、模様の構造は以下のレベルに分類できます。

  • レベル0(フレーム): ベースとなる平編みのかご本体。
  • レベル1(直交・シフト積層): フレーム(Lv.0)を支点として差し込む層。
    • 基本: 水平・垂直方向(0度・90度)に重ねる。
    • 変則シフト: 「横1マス・縦3マス」のように座標をずらして通すことで、72度・108度、「横3マス・縦1マス」で18度・162度などの角度で通す。
    • ループ(鱗状): フレームのバンドに対して「巻き付ける(ループする)」ことで立体化し、その連続で模様を作る。※斜めに進みますが、足場はあくまでフレーム(Lv.0)であるため、構造上はレベル1の亜種に分類されます。
    • ピクセル絵も構造的にはこのレベル1に属します。
  • レベル2(斜交積層): レベル1のバンドを支点として差し込む層。
    • レベル1でできた浮きや交差を利用することで、45度・135度方向への配置が可能になります。レベル1の足場がないと成立しないため、工程順序は不可逆です。
  • レベル3以降: レベル2以上のバンドを支点として、さらに複合的に編み込む層。

3. 文献に見る技法の変遷

2010年代前半からの関連書籍を紐解くと、この「レベル」が段階的に活用され、補強目的から装飾表現へと進化していった過程が見て取れます。

黎明期:補強としてのレベル1 最初期の文献である高宮紀子の著書[1][2](2013-2014年)では、全60作品中、バンドを重ねる技法はわずか2点のみです。

  • 文献1(p.75, 90): 全面に同方向のバンドを重ねる作例が見られますが、これは模様というより、薄いバンドの強度を補うための「二重化(補強)」としての意味合いが強く、レベル1の初期段階と言えます。

過渡期:装飾表現の開拓とレベル2の登場 2014年頃、紙バンド・PPバンド手芸の第一人者として現在も活躍する古木明美の著書が登場することで、表現の幅が一気に広がります。古木明美の著書[3](2014年)では、紙バンド手芸で培われたデザイン感覚が持ち込まれ、以下の重要な技法が確認できます。

  • ピクセル技法(風車模様): 田の字の4ピクセルに三角を作る「風車模様」が複数の作品で使われています。これは短いバンドで面を埋める技法であり、構造的にはレベル1ですが、幾何学的な絵柄を描くという装飾的な意図が明確です。
  • レベル2の実践: 同書(p.37)の「赤×白ステッチのバスケット」では、水平に通した赤バンド(Lv.1)の上から、白の細幅バンドを45度・135度で交差(Lv.2)させる構成が登場します。
    • 「レベル1を支点としてレベル2を通す」という積層構造が、この時期すでに作品として完成されていたことは特筆すべき点です。

発展期:機能からの派生と数学的探求 翌2015年、富田淳子の著書[4]では、ベトナム現地の技法を通じて、さらなるバリエーションが紹介されます。

  • 機能の装飾化(鱗模様): 作品(23, 30, 31)に見られる、バンドをループさせながら斜めに進む模様です。持ち手をカゴ本体に巻き付けて固定する技法を、装飾として側面全体に応用したと考えられます(Lv.1の亜種)。
  • 幾何学的・数学的応用: 「幾何学模様のバッグ」(p.66)では、赤のフレーム(Lv.0)に白の水平バンド(Lv.1)と白の斜めクロス(Lv.2)を加え、さらにミントグリーンのバンドを72度・108度(Lv.1)に通しています。

現在:技法の定着 その後、2021年頃からの再ブーム以降に出版された書籍では、素材の多様化と共にこれらの技法が統合・洗練され、複雑な模様が前面に現れるようになります。

特筆すべきは、2016年から2020年にかけての出版空白期です。この間、技法書の出版は途絶えましたが、同時にSNSが情報インフラとして定着した時期でもありました。 書籍による図解の代わりに、SNS上の写真を通じて視覚的に情報が交換されたことで、「花模様」に代表されるような、より映える、かつ高度なステッチがユーザー間で広まったと考えられます。

第1次ブーム後期の先駆的な試行錯誤(レベル1の多様化とレベル2の確立)は、この空白期のSNS文化による醸成を経て、現在に至るPPバンドの標準的な装飾技法として、完全に定着したと言えるでしょう。


参考文献

  • [1] 高宮紀子 (2013). 『PPバンドで編む 毎日使えるプラかご』 誠文堂新光社.
  • [2] 高宮紀子 (2014). 『PPバンドで編む オシャレなプラかご』 誠文堂新光社.
  • [3] 古木明美 (2014). 『PPバンドで作る かわいいプラかごとバッグ』 河出書房新社.
  • [4] 富田淳子 (2015). 『PPバンドで作るベトナムのプラカゴ』 文化出版局.